【ネタバレあり感想】『Turkey!』:最終話で「観てよかった」と思えた理由

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Turkey!、最初は「変なアニメ」だと思ったけど――

『Turkey!』を見始めて最初に思ったのは、「思ってたのと全然ちがう…」という戸惑いだった。

てっきり、よくある青春×部活動ものかと思っていたら――
まさかのボウリング×タイムスリップという、どこにもない超・奇抜アニメだったのだ。

あまりの想定外な展開に、途中で視聴をやめようかとも思った。
でも、最終話まで観た今ではハッキリ言える。
見続けて本当によかった!

特にラスト2話は、1話を見ていた時にはまったく想像できない展開で、鳥肌が立った。
正直、舐めていた。Turkey!、すごいアニメだった!

Turkey!とは? あらすじと基本情報

あらすじ

長野県一刻館高校ボウリング部。
ある日のボウリング大会の後、勝つことよりも楽しむことを大事にしている部長・音無麻衣は、勝ちにこだわりたい後輩の五代利奈と衝突してしまう。

退部しようとする利奈を引き止めるため、1ゲーム勝負をすることに。
すると突然、ボールが光だし、部員の5人はボールと一緒に光に包まれ――

気がつくと――戦国時代にタイムスリップしてしまっていた!

・全12話

・ジャンル:ボウリング、タイムトラベル、青春、スポーツ(オリジナルアニメ)

・原案:BAKKEN RECORD、ポニーキャニオン

・監督:工藤 進

・制作:BAKKEN RECORD

1話を観て思った「なんだこのアニメは?」

このアニメを見始める前、PVを観た私は「ボウリングでどのような青春ストーリーが描かれるのだろう」と期待をしていた。

そして1話。
本気で勝ちたい利奈と、楽しく部活をしたい麻衣

王道だけど、いいスタートだと思った。
ここからボウリングを通して、部員たちの友情や絆が固く結ばれていくのだろう、と。

――しかし、メインはそこではなかった。

1話のラストを見た時は予想外すぎて笑ってしまった。

青春スポーツ物を見ていると思っていたら、いきなりのファンタジー要素!?
すごい違和感。笑

でも、それと同時に妙に納得もした。
タイムスリップがメインなら、そりゃ初めからクライマックスのようなストーリーになるよね、と。

2話を観て――「この作品を舐めていた」


1話が衝撃展開だったため、そのまま2話も視聴。

正直、「この先も、タイムスリップ先で楽しくボウリングする話なんだろうな」くらいに思っていた。

しかし、私はまだ『Turkey!』を舐めていた。

なんと――
いきなり、生首が飛んできた。

戦国時代で、ボウリングを通じて人々と仲良くなる…なんて甘いストーリーではなかった

人の死までしっかり描写される、そこそこシリアスで現実的な展開。

ボウリングのアニメを見始めて、2話目で人の生首が出てくるなんて誰が予想できただろうか。

そして私は、もう一度思った。
「なんだこのアニメは?」

3〜10話で視聴を辞めかけた理由

正直、3話あたりから「もう観るのやめようかな…」と何度か迷った。

人の死の描写はリアルなのに、敵との対決シーンになると妙に雑だったり、敵がボウリングのボールにビビりすぎていたりする。
「そんな転がり方するわけないだろ!」と思わずツッコミたくなるシーンも多く、ストーリー展開に無理を感じることがあった。

ボウリングと物語の繋がりかたに違和感を感じることもあった。

――それでも、なんだかんだ見続けられた理由がある。

キャラ一人ひとりの心情描写が丁寧で、時折ハッとするようなセリフもあった。
妙なところでリアルなTurkey!らしさに惹かれたのかもしれない。

特に利奈が、なぜ先輩たちと距離を取ってしまうのか――
その理由や、本心が垣間見えるシーンには心を打たれた。

また、戦国時代の常識現代の価値観のぶつかり合い。
どちらが悪いわけではないすれ違いの描写には、考えさせられるものがあった。

ストーリー全体には違和感も多いけれど、キャラクターへの共感と、Turkey!独特の空気感が残っていたからこそ、最後まで視聴を続けることができた。

……正直、「こんな変なアニメがあったんだよ」って友達に話すため、という理由も少しあったけど。笑

11話からのシリアス展開に一気に引き込まれた

なんだかんだで、面白くて見続けていて気づいたら11話。
しかし、ここから物語の雰囲気がガラッと変わる。

今までの何倍も面白くなった。
ここにきて、Turkey!が本気を出してきたと感じた。
今までのストーリーはこの瞬間のためにあったと思えるほどに。

まさかの――
命をかけたボウリングが始まったのだ。

それに、賭けるのは自分の命だけじゃない。
部員全員、そして戦国時代で出会い、仲良くなった人たち全員の命だ。

勝負を挑まれた時、少し戸惑っていた麻衣たち。
それでも正々堂々勝負を受けた麻衣たちからは、これまでで1番強い覚悟を感じた。

――そして始まる。
「1発でストライクを取らなければ、全員が死ぬ」という究極のデスゲーム。

今までで1番の緊張感。観ているこちらも手に汗握る。

さらに印象的だったのは、1人ひとりが投げる前に、戦国時代での成長や葛藤を振り返るシーンだ。
その場面のセリフや回想が、キャラの心情にリンクして胸を打たれる場面となっていた。

これまでのTurkey!のストーリーは、全てこのシーンのためにあったのかもしれない。
そう思えるほど、見応えのあるシーンだった。

3人連続でストライクを決め、残りはボウリングが最も上手い、利奈と麻衣。
「これはいける!」
少し希望が見えてきたその時――

敵の将軍が動き出す。

なんと、仲間10人が――
棒に縛られ、まるでピンのように並べられていた。

11話はここで終了。

「これは、どういうこと!?」と言う状態で終わり、12話が待ちきれない展開だった。

1度希望が見えてきた麻衣たちを、再度絶望に落とす。
Turkey!、やはりこのまま簡単には終わらないようだ。

12話、利奈の絶望と麻衣の覚悟に心が震えた

棒に縛られた3人の部員と、戦国時代で仲良くなった7人の仲間たちを前にした麻衣。
そこに突きつけられた、新たなルール。

それは――
ストライクを取らなかったら、残ったピンと同じ位置にいる人が殺される。

実のところ、ルール自体はそこまで変わっていない
むしろ「全員」ではなく「一部」だけになっただけ、優しくなったと言えるのかもしれない。

けれど、今回は明確に誰が死ぬかがわかってしまう。
目の前に並べられた仲間たち。
その光景によって、プレッシャーが可視化されたのだ。

つまり、これからボールを投げる2人には、とてつもない精神的重圧がのしかかっていた。

敵は気づいていたらしい。
――麻衣はプレッシャーに弱いと。
そして、その混乱の最中、利奈は右腕を負傷してしまっていた。

麻衣は過度なプレッシャーと絶望に押しつぶされ、動けなくなってしまう。
それでも、利奈はボールを持ち、レーンに立つ。

覚悟を決め、振り上げたその一球――
右腕の怪我の痛みで、コントロールが乱れる。

「……!! 待って!!」

このときの利奈の叫びは、焦り・絶望・悲しみ、すべてが入り混じっていた。
胸が締めつけられるような瞬間だった。

そしてボールは、ピンを倒す。
だが、両端の2本だけが残る。

「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」

利奈は泣きながら取り乱し、叫ぶ。

そんな中、残ったピンの場所にいた部員が言う。
「利奈ちゃん。いいよ、大丈夫。」

利奈は叫ぶ。
「大丈夫なわけない! お願い、私を殺して!」

このシーンは、Turkey!の中で最も苦しく、感情を揺さぶられたシーンだった。

いつもクールだった利奈が、泣きながら自分を責めている。
自分のせいで大切な仲間が死ぬ――その重さに、押しつぶされそうになっている。

そしてその仲間は、そんな利奈を気遣って「大丈夫」と言う。
命が奪われようとしているのに。

利奈は、そんな優しさに耐えられず、「私を殺して」とまで言う。

お互いのことを、自分以上に大切に思っている。
だからこそ、このシーンは何倍も心に響いた。

そして、処刑の瞬間――
麻衣が「待った」をかける。

そして言う。
「ボウリングには2投目がある!」

これは、1話から麻衣がずっと言っていた言葉。
だが、このとき皆が気づく。

(……まさか、1人を選ぶつもりなのか?)

今残っているピンは、両端の2本。
1球で両方倒すのは、スプリット。つまり非常に難しい

失敗すれば、残った方が死ぬ

敵の将軍も、それを理解したようだ。
「共に背負うのか、仲間の死を。」
その覚悟が気に入ったのか、2投目を許可する。

ここで、思い出す。
1話でも出てきた、麻衣がいつも苦しんでいたスプリット

麻衣は、大会の日などにこの状況になり、いつも2本を狙ってガーターにしていた。

そして今、同じ状況。
そして、命のかかった2人の仲間が叫ぶ。

私じゃない方を助けて!、と。

お互いが、お互いの命を優先しようとする。
そんな状況が、なおさら麻衣にプレッシャーをかける。

それでも麻衣は、覚悟を決めてレーンに立つ。

投げる前、麻衣はいつもの口癖を言う。

「みんなで一緒に、帰ろうね。」

いつも聞いていたはずのその言葉が、
この時は、まったく違う重さで響いた

そして――
ボールが転がる。
跳ね返ったピンが、もう1本のピンを倒す。

Turkey!のクライマックスは、緊張と絶望、そして希望のバランスが見事だった。
私は心の底から思った。

「このアニメを最後まで観ていて良かった!」

Turkey!は「観続けてよかったアニメ」だった

最初にTurkey!を見た時。

「思っていたアニメと全然違う。」
「なんだ、この奇抜なアニメは?」

と言うような感想だった。

そして、見続けるとストーリーに若干違和感があり、見るのをやめようと思うこともあった。

しかし――
キャラクターの心情やセリフの重み、そして妙なところでリアルな「Turkey!」らしさが、面白く見続けられた。

そして11話と12話。
ここの話は、今までのとは別格に面白かった

ボウリングのアニメで誰が、
命を賭ける展開になると想像できるだろう。
「私を殺して!」なんてセリフが出てくると思うだろう。
胸が締め付けられ、心が揺さぶられると思うだろう。

面白かったのは、感情が揺さぶられる展開と予想外の展開だけじゃない。

「ボウリングには2投目がある」と言うセリフの伏線
クライマックスになって判明する、なぜ麻衣がいつもターキーを取った後ミスをしてしまうのか

など、このアニメは伏線が散りばめられている。
今回の感想では書ききれなかった伏線もたくさんある
きっと、私が気づいていない伏線もあるだろう。

そして、何気に好きなのは、このアニメを見る前と後で変わる
「みんなで一緒に帰ろうね」
と言う言葉の捉え方だ。

このアニメを見た後では、この言葉の重さが段違いだ。
そして、この言葉が大好きになった

本当に、このアニメを観るのをやめないでよかった。

もし、途中で見るのをやめた人がいるなら、また観始めてほしい
そして、これから観る人がいるなら、途中でやめず最後まで観てほしい

このアニメは良くある青春スポーツアニメではなかった
しかし、観る前に期待していた以上に面白いアニメだった

奇抜なスタートからは想像もつかないラスト――
Turkey!は、見続けた人だけが辿り着ける、唯一無二の作品だった。

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